ボクのもの

お久しぶりですっ!
この一ヶ月で動画とか作ってたのです…;
8話のあずまこで滾ったので頑張って書きました!
続きからどうぞー。
※アニメ8話のネタバレ含みます。






「じゃあこれで撮影終わりです。お疲れ様でした〜」
「「「お疲れ様でした(なの)〜」」」
あずささんを中心とした騒動の後で雑誌の撮影が再開された。
あずささんと僕の撮影は夕方からし始めたので終わった頃には既にとっぷりと日が暮れていた。
時間が時間なので事務所には寄らずにその場で解散することになった。
「じゃあミキは帰り道こっちだから、行くね」
現場を出たところの大通りで、美希はある方向を指さした。
ボクとあずささんの家は逆方向だ。
「うん、バイバイ美希」
「さよなら美希ちゃん」
「あずさ、真クン、さよならなの〜!」
元気よく手を振って美希は信号を渡っていった。
あずささんと顔を見合わせる。
「じゃあ私たちも帰りましょうか〜」
「はい!」



二人で街灯に照らされた道を歩く。
この辺りは繁華街だから明かりがあるし人通りも多い。
女性には安心できる。
道すがらボクたちは今日の出来事について話していた。
「それにしてもびっくりしましたよ。あずささんって石油王と知り合いだったんですね」
「うふふ、知り合いというか、たまたま占いをしただけなんだけどね」
「占いですか?」
「そこは話すと長くなるわね〜」
あずささんが長い話をしだすととてつもなく時間がかかるのは分かっていたから、ボクは曖昧に頷いておいた。
「真ちゃん、私をずっと探しててくれたんでしょう?ありがとう」
「いえいえ。結局何もできませんでしたから」
ボクがしたことと言えば石油王のSPと戦ったことくらいだ。
…そういえばあの時は夢中で気付かなかったけど、結構色々な物を壊してしまった気がする。
修繕費とかどうなるんだろう。
まあプロデューサーが何とかしてくれるか。
するとあずささんが思い出したようにボクの顔を見た。
「そうそう、プロデューサーさんから聞いたわよ」
「え?何か言ってたんですか?」
あずささんは楽しそうに垂れがちな目を細めた。
不意にその端正な顔が僕のこめかみに寄せられ
「真ちゃんが、『あずささんは渡さない』って言ってたって」
囁かれた。
顔中の血が一気に駆け巡るのを感じた。
そうだ。
ボク自身も覚えている。
あの黒服の男たちをあずささんの誘拐犯だと思い込んでたボクは、つい口走ってしまったんだ。


――お前たちに、あずささんは渡さない!!


ドラマでも今時言わないだろう恥ずかしい台詞を。
そりゃああずささんは同じ事務所の仲間だし、好きだけど…。
ボクの羞恥にまみれた心など知る由もなく、あずささんは嬉しそうに笑みを浮かべる。
「私も聞いてみたかったわ〜」
「あずささんに聞かれなくて本当に良かったです……」
「あら、どうして?」
首を傾げてボクの顔を覗き見るあずささん。
ちょっと近いですって!
ただでさえ人目があるっていうのに…。
きっとそういうことは気にしないんだろうなあ。
「だって…は、恥ずかしいじゃないですか」
「私は嬉しいわよ〜」
あずささんがそっと早足になる。
そして数歩先でボクに振り返る。
女神のような笑顔で。
「真ちゃんが『ボクのものだ』って宣言してくれたみたいで」
「〜〜〜っ」
あえて考えないようにしていたことをあっさりと口にされてしまう。
声にならない声を口の中で上げる。
あずささんは笑顔を崩さない。
可愛い、と表情に書いてある。
もどかしくなったボクは勢いに任せてあずささんの手を握る。
「そ、そうですよ」
こうなったら半ばヤケだ。
「え?」
「あずささんは…ボクのものなんですから。誰にも渡しませんよ」
更に青臭い台詞を吐いてしまった。
本音なんだから仕方ない。
「頼もしいわ、真ちゃん」
「へへっ」
あずささんに褒められると恥ずかしさよりも嬉しさが勝る。
いつだってあずささんは、周りの人を幸せにするんだ。
「そうだわ真ちゃん、うちに寄って行かない?」
「えっ今からですか?」
時計を確認すると8時を回っていた。
このままあずささんのマンションにお邪魔するとなると泊まりになるだろう。
「ええ、ダメかしら?」
「いえ大丈夫です!どうせ家帰っても一人なので」
そう答えるとあずささんは安堵の息をついた。
ぎゅっと握りしめる力を強くする。






あずささん、知ってますか?
ボクは貴女が思っているより
貴女のことが好きなんですよ