解語之花

あずたか書きましたー!
最近来てますよこのCPw
あとR-15ですよ。
貴音がえっちです。








貴音が目を覚ますとさっきまで確かにあった温もりが消えていた。
寝る時まで触れていた柔肌の感覚がないし、隣に人のいる気配もない。
数時間前までこのベッドは熱を帯びていたというのに。
今は貴音の右側にぽっかりとスペースがあるだけだ。
「あずさ……」
貴音は無意識に温もりの名を呟く。
この時間だから、出掛けたというわけではないだろう。
水を飲みにキッチンにでも行ったのかもしれない。
ただそれだけだ。
それでも
あずさが隣にいない。
貴音にとってはそれだけで不安因子になる。
早く帰ってきてほしい。
彼女の温度を確かめたい。
落ち着かなくて寝返りを打つと、あずさの枕が目に停まった。
数日に一回洗っているだけあって汚れ一つない。
だが、今晩染みついた匂いは取れていまい。
貴音は藤色の枕に鼻を寄せた。
深呼吸のように大きく息を吸うと鼻腔内にあずさの香りが広がった。
嗅ぎなれた、それでいて安心する香り。
枕から香る匂いだけであずさを思い描くことができる。
さっきまで行っていた行為も。
その時のあずさの表情も。
「(あずさ、あずさ…!)」
貴音は本能のまま、自分の胸に手を伸ばした。
ガチャッ
途端に寝室のドアが開いた。
反射的に貴音は上半身を起こす。
突然のことに心臓が急速に鼓動を刻む。
気持ちを落ち着かせながら音がした方を見やる。
ドアの隙間から洩れる明かりで、立っている人物の顔が照らされる。
三浦あずさその人であった。
身体を起こしている貴音を見て首を傾げた。
「あら?起こしちゃったかしら〜。ごめんなさいね」
「い、いえ…」
貴音の胸には安堵よりも背徳感が広がっていた。
まさかあずさの枕の匂いを嗅いで興奮していたなどとは言えない。
「もしかして良く眠れなかったの?」
貴音の反応が気になったのかあずさが徐々に近づいてくる。
かがんだ拍子に下着の間から見えそうになる胸。
奥まで澄んだ赤い瞳。
形のいい唇。
貴音のリミッターを外させるには十分だった。
あずさの首に両腕を絡め、引き寄せる。
ぶつかりそうな勢いで唇を重ねた。
いつもと違う様子に驚いたあずさだったがすぐに舌を絡めて応えてくれる。
口内をなぞり、舌をつつき、唾液を啜る。
寝室に水音が響きだしたところで、貴音から離れた。
貴音の口端から零れた唾液をあずさが指で拭いとった。
「ふふっ。どうしちゃったの?」
貴音の突然の攻めにも、あずさは余裕の姿勢を崩さない。
「いえ…あの、申し訳ありませんでした」
貴音は俯きながら小さく謝罪した。
あずさと目を合わせられない。
自分の本能を押し付けただけだ。
するとあずさはちらりと貴音の向こうを見た。
「ね、貴音ちゃん。朝までまだ時間はあるわよね」
言われて貴音は振り返る。
カーテン越しの東の空はまだ暗闇に包まれている。
「ええ、恐らく…」
「それなら」
あずさはゆっくりと貴音をベッドの上に押し倒した。
優しく艶やかな笑みを浮かべる。
「もう一度、する?」
貴音の胸が先ほどとは違う感情で高なった。
同時に身体がうずいてくる。
返事をする代わりに、あずさへと身体を擦り寄らせた。
下着の中にあずさの指が侵入する。
「ひゃ、ん……あ、ぁ」
「貴音ちゃん、かわいい。もっともっと聞かせて…」
耳元で囁かれて、全身が震える。
身も心も、快感を要求している。
声も唇も胸も言えないところも
貴音の全ては、あずさのものなのだ。
「んん…!あ、ずさ…愛して…います…」
「私も。私も大好きよ。愛しているわ」





二人の夜は、まだ続く。