二人で歩く、この季節

お久しぶりですすいません。
リアルの都合とかいろいろあってぽっかり空いちゃいました。。
とりあえず短いですがSS書いてみましたよー。
ひびまこですよ!










「今年ももう終わりなんだな」
卓上のカレンダーを見ていたぽつりと響が呟いた。
朝早く、響のマンション。
広いリビングではもう一人、パートナーの真がくつろいでいる。
二人とも仕事があるがまだ7時という時間なので余裕がある。
「あ、確かにね。もう2か月ないんだよね」
真もソファ越しに壁に掛けてあるカレンダーを見やる。
そう言えば6枚あったこのカレンダーも最後の1ページになっている。
「道理で寒いと思った…もう11月だもんな」
響は身ぶるいする。
この時期、屋内と言ってもセーター一枚では流石に寒いだろう。
響は沖縄出身なので、東京の気候に慣れていないのかもしれない。
これから先は大変だ。
真はあることを思いついた。
「響、こっち」
変わらずカレンダーを眺める響に手招きする。
「何だ真?」
「いいからいいから」
不思議そうにしながらもこちらに近寄ってきた。
そして真は
「えーい!」
「わぶっ!?」
彼女の体を抱きしめて、ソファにダイビングする。
ギシリとしなる音がしたが気にしない。
大体彼女も自分もそう重い方ではない。
「これならどう?」
「うん、あったかいぞ」
ぎゅう、と響の手が真の背中に回る。
気持ち良さそうに目を細めているのを見ると、真もつい顔がほころぶ。
真に包まれながら響が顔を上げる。
無意識なのだろうが、この上目遣いは反則だと真は思う。
「なあ真。近いうちにオフあるんだろ」
「え、うん、土曜日にね」
「じゃあその時に紅葉狩り行こう!自分綺麗な紅葉って見たことないんだ」
楽しそうにそういう響。
響は今春入ったばかりで、こちらで秋を迎えるのは初めてなのだ。
沖縄では珍しい紅葉が見たいのだろう。
真も、深紅や黄金に染まった木々の美しさを、響に見せてやりたい。
穏やかな時間を過ごしたい。
響の髪をいじりながら真が頷く。
「そうだね、いこっか」
「指きり!」
子どものように響がねだる。
真は笑いながら、彼女の小指に自分のそれを絡ませた。
その紅葉はきっと、今までにないくらい美しく映るだろうなと思った。