グレースケール空模様

ツイッターで開催されている1時間SSに参加してみました!
1時間SSについて詳しくはこちら→アイマス1時間SSまとめwiki
今回のテーマは一撃・決裂・遅刻・曇天。
私は『曇天』を選びました。
これでいいのでしょうか…(ドキドキ









曇りの日はいつも心が晴れない。
何故かなんて言う必要もないだろう。
鉛色をした重い空。
密度の濃い空気。
晴れやかな気分になんて到底なれるはずもない。
いっそ雨が降ってくれれば、こんな気分にはならないのに、と。




現に今だって、ボクは事務所のソファでボーっとしている。
雨は30分ほど前に止んだのだけれど、まだ道はぬかるんでいるだろう。
買ったばかりの靴を汚したくない。
「千早」
ソファの手すりに乗せていた頭を別のソファに座っている彼女の方に向ける。
千早が逆さまだ。
いや、ボクの頭が逆さまを向いてるだけなのだけど。
「なあに、真」
ボクを見て子どもをあやすように優しく応える千早。
少し前ならボクのこの体勢に眉をひそめていただろう。
つまりこれは気を許してくれた証拠で、嬉しいんだけど子ども扱いされてるみたいでちょっと不満だ。
千早にはこの行動が子どもがやることに見えるみたい。
「曇りだね」
「そうね」
「千早は外に出ないの?」
「特に用事もないから」
「そっか」
何でもないやりとり。
今この場にはプロデューサーも小鳥さんもいない。
ボクたち二人だけ。
ボーっとすることにも飽きたボクは、千早が座っている隣のソファに移った。
千早はボクが座りやすいように席を空けてくれる。
座ったボクは千早に頭を預ける。
彼女はボクより背が高いから、肩に寄りかかるようになった。
規則正しい吐息が聞こえてくる。
嫌な顔一つせず好きなようにさせてくれる彼女に感謝。
「どうしたの」
「気分が晴れないんだ。もう少しこうさせて」
「まるで病気になったみたいね」
千早が可愛い声で笑う。
病気。
ホントにそうなのかもなあ。
曇りの日はいつも誰かに甘えたくなる。
心が不安定になる。
雨の日はそうでもないのに何故だろう?
きっとこれは「曇りの日に寂しくなる病」だ。
…我ながらネーミングセンスないなあ。
「千早、曇りの日ってどう思う?」
「曇りの日?そうね…私は嫌いじゃないわ」
「?何で?」
「だって晴れの日に太陽が出ていても普通じゃない。曇りの空から光が差し込んできたら嬉しくなるでしょ?」
「へー」
なるほど、そういう捉え方もできるんだ。
でもそれは千早の価値観であって、ボクはきっと真似できない。
この憂鬱からはしばらく抜け出せないだろう。
二人きりでいるのも、それはそれでいいのかもしれない。
「千早、いい匂いがするね」
「そういう恥ずかしいこと言わないの」
「んー」






曇り空は好きじゃない。
ただ、心の針が甘えのほうに向くことだけは
少しだけ感謝している。











やったー1時間で書けたー!!
テーマに沿っているような沿っていないような曖昧な内容になってしまいましたが!
曇りって暗いイメージなのでそれをどうやってSSで書いていくかと少し迷いました。
楽しかったです。また参加希望ですw