ここから始まる物語

凄く久しぶりにひびまこです。
765プロに移籍した響だけど。











響が沖縄に帰った。
961プロを辞めて、765プロに移籍した直後のことだった。
突然のことにびっくりしたけど、プロデューサーには前から言っていたみたいだ。
自分自身を一度見直してみたいとのことで。
「大丈夫だって。きっとすぐ戻ってくるさー」
空港まで見送りに行った際、彼女は笑ってそう言った。
後姿を見て引き留めたくなった。
戻ってこないかもしれないと根拠もなく思ったから。


ボクの新しい友達。


あれから3カ月。
響はどうしているだろうか。
部屋のベッドでぼんやりと天井を見つめる。
ブブブッ。
携帯がバイブで震えた。
首だけそっちに向ける。
液晶画面にメール受信の電子文字が浮かんでいた。
誰だろう。
また美希からのショッピングの誘い?
あくびをかみ殺してメールボックスを開ける。
『明日戻ることになったから。出迎えよろしくー☆彡 From:我那覇響
ベッドから跳ね起きた。
弾みで転げ落ちて派手な音を立てる。
隣の部屋から「うるさいぞー」と父の声。
ごめんと生返事をして、何度も見直す。
たっぷり5回は見てやっと嘘じゃないと確信できた。
携帯を握る手に力が入る。



翌日の昼、真は空港にいた。
皆で迎えに行くとメールしたのだが、真1人でいいと帰って来た。
本当にボクだけでいいのだろうか。
辺りを見回していると、見知ったシルエットを見つけた。
ポニーテールを揺らして、響がやって来る。
キャリーを引き、肩にはボストンバッグを提げている。
「響!」
「やー久しぶりー」
「3か月ぶりだね。ちょっと日焼けした?」
「あーそうかも。向こうは冬でも紫外線キツイからな」
「それにしても―」
おかえり、と言いそうになって口をつぐんだ。
ここには響の「家」はない。
彼女の家は、遠い南の島。
本当に響はこれでよかったのだろうか、と考えてしまった。


「真、ただいま」
響の口から出た予期せぬ言葉に顔を上げた。
「いや、自分のホントの家は沖縄だけどさ、これからは765プロでお世話になるわけだし。
あそこの人たちはいい人ばっかりだから…『2番目の家』にするよ」
響が決めてきたのは覚悟なんかじゃない。
ここから再スタートするという決意なのだ。
ならばボクもまっすぐに受け止めよう。



「…おかえりっ」





SPエンドの後、響はいったん帰るんじゃないかなという勝手な想像からです。