トモダチデート

間が空いてしまいました。
調整も兼ねて。







本日の最高気温、12度。
朝のニュースを見てから、真の心は不機嫌だった。
天気に対して怒っても何にもならないことは分かっている。
しかしこの寒さに対する苛立ちはどこにぶつければいいのだろうか。


暦は12月。
クリスマスと年の瀬はもう目と鼻の先だ。
アイドルと言えどまだCランクに上がったばかりの真には、この二つの時期に大きな仕事が来るかは微妙だった。
ラジオや各地のイベントには出ると思うがテレビの仕事は恐らくない。
それを休みが取れると喜ぶべきか、まだランクが足りないと悔しがるべきか。
「(ま、今はそんなことどうでもいいや)」
自分の仕事はプロデューサーが決めるのだから。
ふうっと吐き出した息は白かった。


街に出てみるとクリスマス用のイルミネーションが鮮やかに光の応酬をしていた。
コートのポケットに手を突っ込みながら、目的地のデパートまで小走りで向かう。
こんなに寒いのに外に出るのは、あの人が待っているから。


彼女は、自動ドアの端に立っていた。
「あずささん!」
名前を呼ぶといつもの笑顔で応えてくれた。
「すいません、待ちましたか?」
「ううん、全然」
「嘘。鼻が赤いですよ」
「あらあら〜ばれちゃった?」
あっさりとぼろを出すあずさに笑う。
冷たくなってしまった手をとり、一緒に中へ入る。


何故彼女と買い物をするのかと言うと、プレゼントを選ぶためだ。
真自身の。
そのプレゼントの希望は「女の子らしいもの」なのだが、いかんせん自分だけで選ぶと予想の斜め上のものを買ってしまいそうだ。
そう思った真はあずさに一緒に選んで欲しいと頼んだ。
もちろんあずさは二つ返事で承諾してくれた。
「真ちゃんはとってもかわいい女の子なんだから」と言われたら赤くなってしまうのも仕方ないかもしれない。


「ねえ真ちゃん、これなんていいんじゃない?」
あずさが手に取ったのは袖口が広く開いたセーター。
「わあいいですね!すっごい可愛いですよ」
「これに合うようにキャミソールを買ったらもっといいと思うわ〜」
まるで自分のことのように考えてくれるあずさが真は大好きだ。
「もっといい服あると思うし、ゆっくり回りましょう」
「はい!」
こうして二人はたっぷり2時間ほど買い物を楽しんだ。




足が疲れてきたころ、デパートを出た。
真は両手に大きな買い物袋を提げていた。
「ホントにありがとうございました、あずささん」
満足げな笑顔で頭を下げる。
「あら、これ位いいのよ〜」
「でも色々と服を選んでくれて…お礼がしたいくらいです」
「お礼?そうねえ、じゃあ…」
少しだけ、悪戯っぽく笑った。
「真ちゃんがその服を着て可愛くなってるところを見たいわ」
「ええ!?」
不意打ちな要求に真は慌てふためいた。
それをみてあずさは可笑しそうに笑う。
「ふふっまた今度見せてね〜」
嬉しそうなその笑顔を見て、
「もう、仕方ないですね…皆には内緒ですよ?」
あっさり折れてしまった。
「もちろんよ〜」
何故彼女の笑顔を見ると、何でもかんでも許す気になるのだろうか。




本当は分かってるけど。
彼女の隣は居心地がいいから。
きっと、それだけ。








お久しぶりです。
期末試験がありまして更新ができませんでした。
百合じゃないあずまこは初めてかもしれません…。
少し疲れたのでここら辺で。