THE IDOLM@STER Girl's Side 〜とある女性Pの一日〜

ガールズサイドにはまってしまったのでちょっと書いてみます。
元ネタはこちらから。
【ニコニコ動画】男性版アイドルマスター「THE IDOLM@STER Girl's Side」
性転換モノなので、苦手な方は見ないようにしてくださいね。
全員書けなかったのであと2回くらい続きます。
Pは女性設定です。







ごくごく普通の大学生だった。
いや、今だって普通のはずだ。
他の人よりちょっとだけ違うところは
男子アイドルのプロデューサーという点だろう。





プロデューサーと言ってもまだ見習いの段階だ。
事の始まりは私がとある事務所のバイトの募集を見つけたところから。
丁度バイトを探していたから、好都合と履歴書を送って面接に行ったら
社長にあった瞬間、肩を掴まれて
「気に入ったわ…貴女、プロデューサーにならない?」と言われた。
その時は混乱していて、訳も分からずに頷いてしまった。
それから事の重大さに気づいて慌てて断ったのだが、結局は高城社長の懇願に折れた。
付き添いの事務員の制服を着ている男性に目配せをしたが、彼は困ったように笑っているだけだった。
そして今は大学とプロデューサーの勉強を掛け持ちしている。




今日は木曜日、バイトの日。
いつもの交差点を曲がると、大きな高層ビルがそびえたっている。
このビルの4分の1を私が勤める事務所…765プロが占めている。
こんなに大きな会社であるにも関わらず、事務員をバイトで集めるなど人手は足りていない。
とある事務員曰く、『以前の貧乏性が抜けていないんです』とのこと。
まあそんなことはどうでもいい。


エレベーターで上がると、これまた大きな半透明のガラスのドアが待ち構えている。
これをくぐるのが未だに慣れない。
ちょっと気圧される。
足を踏み入れようとした瞬間――


バンッ!!


「わっ!?」
ドアをこじ開けるようにして、二つの影が私の両脇をすり抜けていった。
続いてドアの向こうから怒鳴り声。
「おいこら!亜央、真央!!」
声の主はドアを荒々しく開け、左右を見回した。
標的を見失ったようで、彼は大きな溜息をついた。
私はその袖をチョイチョイと引っ張る。
「ねえ律…どうしたの?」
律はこちらを見るとまた小さく息を吐く。
「あいつらが悪趣味ないたずらをしたんですよ」
頭が痛い、とでも言いたげにメガネを指で上げる。
彼の名前は冬月律。
今流行りのメガネ男子だ。
頭がよく、事務所のアイドル達の兄的存在。
世話焼きな性格ゆえに苦労することも多い。
「また?もう、今度は何なの?」
「俺と雪乃丞の茶にハバネロソースを入れたんです」
「…うわあ」
無邪気ゆえの残酷さというのだろうか。
いかにもあの双子がやりそうなことだ。
「俺は飲まなかったから平気だったんですけど、雪乃丞なんて凄い顔色で倒れたんですから」
「ええ!?ちょ、ちょっと雪乃丞大丈夫なの?」
そういえば彼は辛いものが大の苦手だったはず。
「直後は騒ぎになりましたけど、今は結構落ち着いたようですよ」
大事に至らなかったようで安心したが、様子を見に行ってやらなければ、と思った。



「じゃあ、俺は事務所に戻って書類整理やらなきゃならないんで。あの2人見かけたらきつく言っておいてください」
「うん分かったわ」
軽く手を上げて律は戻っていった。
双子のいたずらには私も悩まされている。
子どもがやることなので、あと少ししたらなくなるとは思うのだが。
「姉ちゃん姉ちゃん、りっくんいなくなった?」
後ろからの声に振り向いてみると、こちらを見る大きな瞳が4つ。
噂をすればなんとやら。
「亜央、真央、律が探してたわよ」
「分かってるよ→。だから今まで隠れてたんだよ」
「りっくんに見つかったらまたお仕置きされるからね→」
律と同じように私も溜息をついてしまった。
この子たちは双海亜央と双海真央。
双子であることを隠してアイドル活動をしている12歳の少年。
いたずら大好きで、主に社長や律の頭痛の原因だ。
「こんなことしちゃダメでしょ。皆が困ってるわ」
たしなめると、2人は顔を見合わせた。
そしてにっこりと笑って言った。
「うん、姉ちゃんが言うなら止めてもいいよ」
「ちょっとの間だけね」
何度も同じ会話を交わしてきたから分かる。
この言葉は嘘ではない。
ただ、本当に『ちょっとの間』なのだ。
3日もすればまた同じことの繰り返し。
だから説得はもう諦めている。
「ちょっとの間でいいから、止めてよ」
「「はーい」」
2人は仲良く声を合わせた。
こういうところは可愛いのに。




探検してくると外に出た亜央と真央を見送った後、ドアをくぐる。
「おはようございます」
挨拶すると、事務机に向かっていた一人の事務員がこちらを向いた。
にこりと微笑んで挨拶してくれる。
「おはようございますプロデューサーさん」
事務員とは思えないこの美青年は音無朱雀さん。
見習いの私に指導をしてくれるとても優しい人だ。
これで彼女いない歴=年齢とは思えない。
「音無さん、あの、雪乃丞が倒れたって聞いたんですけど…」
「ああ、彼なら大丈夫ですよ。あっちのソファで休んでます」
お礼を言ってから示されたソファに行ってみた。
確かに人がいた。
「雪乃丞、おはよう」
「あ、プロデューサー…おはようございます」
ぺこりとお辞儀をしたのは萩原雪乃丞。
ちょっぴり頼りない雰囲気をまとう小動物系アイドルだ。
落ち込んだりするとすぐ首を吊ろうとする困った子でもある。
「律から聞いたよ。双子のいたずらの被害にあったんだって?」
「いえ、もう全然平気ですから」
そうは言っても少し顔色が悪い。
どっきりとかには一番弱いタイプだ。
「無理しないでね」
「はい。ありがとうございます」
微笑みも少し弱々しく見える。
母性愛をくすぐるタイプでもあるなと観察してしまう。


そこに一人の女性が近づいてきた。
「あら、2人ともおはよう」
「「おはようございます」」
雪乃丞の声と私の声が重なる。
女性は満足そうに笑った。
この女性が私をスカウトした張本人、高城順子社長だ。
すらっとしたシルエットにきっちり整えられた髪、胸元が適度に空いて色気を出している。
誰が見ても文句なしの美人社長。
人材をインスピレーションで決めてしまう癖があるのだとか。(私もその被害者
高城社長はまず雪乃丞に声をかける。
「トップアイドルの道は一日にして成らず。今日も頑張るのよ」
「は、はい!」
ぴしっと雪乃丞の背筋が伸びる。
社長は人にやる気を出させるのが得意だ。
続いて私を見やる。
「一日も早くプロデューサーになれるよう、バリバリ勉強してね。貴女には期待しているのよ」
「はい!」
社長にそう言ってもらえると、自然と頑張らなければという義務感が湧いてくる。
「じゃあ頼んだわよ」
社長はそう言い残すと美しい足取りで社長室に消えていった。
私は隣の雪乃丞を見る。
「お互い頑張ろうね!」
「そうですね」
そう言う彼の顔は、幾分血の気が戻ってきたようだった。



ちょっと変わった事務所での一日が、今日も始まる。










どうも、遂に性転換モノを書き出した愚か者です。
カッコよかったから仕方ないじゃないですか!
管理人は腐女子でもありますしw
でも元動画は男性が見ても楽しめると思うんですよね。
女性ファンにももちろんおススメですよ。
まだ半分以上アイドル残ってるので、続きは早めに書きます。