響&貴音の961組です。
真とあずささんが出てこないのは私にしては珍しいです。








空には星が瞬いて手を伸ばせば届きそうな程だった。
少女は手を伸ばし、掴もうとぎゅっと握ったが何も感触はない。
…近いようで果てしなく遠い星々。
少女の目が細められる。


「貴音、貴音〜!」
自分の名を呼ぶ声に振り向くと、ポニーテールの少女が髪を揺らして駆け寄ってくるのが見えた。
「響…どうしたのですか?」
「どうしたもこうしたもないさー。黒井社長に貴音の姿が見えないから探しに行けって言われたんだよ」
貴音と言われた少女はきょとんとした顔で響を見る。
よく分かっていないのだろう。
全く彼女は本当に天然ボケだ。
黒井社長もスカウトして少しは後悔しているのかもしれない。
「も〜どうでもいいから早く事務所に戻ろうよ」
面倒くさくなった響は貴音の腕を引っ張って催促する。
貴音は子どものようだ、と思った。
親友とも呼べる相手の顔に苦笑が浮かんだのを見て響は目を細める。
「あ、今貴音子どもっぽいとか思っただろ!?」
「さあ?」
「うわ、絶対思ったって今の反応!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ響を見ていると何故か心がふっと軽くなる。
彼女にはそういう才能というか資質があるのだろうか。
「分かりました、帰りましょう」
「はあ〜やっとか〜」
まだ来て数分しか経っていないはずなのに響の口からため息が漏れた。
「きちんとレッスンをこなさないと他の事務所のアイドル達に先を越されるかもしれませんものね」
「その点は大丈夫だよ。自分、完璧な上にレッスンもちゃんとしてるもんね」
フフンと得意そうに鼻を鳴らす。


「最近は…765プロも頭角を現していますから」
二人の顔が同時に険しくなる。
彼女たちの所属する961プロがとりわけライバル視している765プロ
そこのアイドル達はBランクに上がっても順当に生き残っていた。
そして、貴音と響は黒井社長が言う「765プロは掃き溜め事務所だ」という言葉に嘘が滲んでいることに薄々気づいていた。
65プロが彼の言うとおり底辺事務所ならば、Bランクまで生き残るアイドルを育てられるはずがない。
真剣に対等のライバルとして意識しないとこの先IU優勝を奪われるかもしれないのだ。
「最初は大したことないと思ってたんだけど…なかなかやるみたいだしね」
響が長い髪をかき上げる。
「これからは全力で勝負しないと。認めるよ、765プロは強い」
「ええ。ですが、IU優勝は譲れません」
貴音がきっぱりと言うと、響も笑う。
「当たり前さー。お互いに頑張ろうな、貴音!」
グッとガッツポーズを作ってから、貴音の腕を掴んだ。
決して乱暴にではなく、優しく。
東京では珍しい星空の下、二人は並んで961プロに帰っていった。














貴音と響、二人のちょっとした日常のやり取りです。
黒井社長には同僚のアイドルとの会話も制限されてるけど、社長の知らないところで二人で話してたりしたらいいなと。
美希も出してみようかと思ったんですが3人の会話がなかなか思いつかなかったのでこの組み合わせになりました。
アイドラみたいな感じで書いてみたいんですけどね。
この二人最終的に765プロに移籍したので嬉しいです。
あと、私はスター買ってないので貴音の口調とか怪しいかもしれませんが見逃して下さい…;